結婚記念日を迎えた。
1985年から数えて23年が過ぎた。
今年は、50歳からの生活設計を考えたものの、その計画の端緒へたどり着くまでに至っていない状況が続いている。なので、豪勢に祝い事をするという気分にも、財政状態にもなかった。
しかし、ありあわせの食事や、いつもの店に行ってあまりいつもと変わらないような時間を過ごすのはつまらないと思った。
なにか、
イヴェントをしようと思った。
思いついたのは、2人で
1万円を財布に入れて、いつもとは違う場所に行って、なにかおもしろいことはできないだろうか、というものだった。
いつもと違う場所とはいっても、行ったことのない公園や町歩きをして、金のかからないだけの時間を過ごすのは、やっぱりつまらない。
私たち夫婦に相応しく、飲んだくれて過ごす1日が、テーマになったのは、必然だったのだろう。
お昼を過ぎて、用事を済ませてから四ッ谷駅に向かい、切符を買った。本日の「約束」では、交通費も込みで1万円なのだ。
下車駅は中央線の
中野駅。
北口の近くにある、
第二力酒造という居酒屋だ。
午後2時に開店するというこの店の暖簾をくぐると、すでに何人かの客が宅を囲んでいる。年配のファミリーが、外出がてらに食事をしようと立ち寄ったという風情が多くみられるようだ。
この有名な居酒屋は、近くを通ったことがあるものの、入ったことがなく、機会を待っていたのだ。
カミさんは生ビール大、私はレモンサワー。正しくすっぱい、とてもおいしいレモンサワーだ。カミさんはビールの味がよいと喜んでいる。
つまみは、豆腐煮としゃこわさというのを、頼んでみることにする。
生のしゃこがとても太くて、非常においしい。しばらくすると、豆腐煮がやってくる。
この店の名物とかで、魚のあらを煮た煮汁で豆腐を味付けしているという。
どんなものか、恐る恐る口に入れてみると、これはすばらしくおいしい。品の良い煮汁の甘さが口に広がり、舌には絹ごしの豆腐がふんわりと溶けていく。
絶品だ。なのに、400円というのは安すぎる。
私は焼酎のお湯割りに代えて、豆腐に集中することにする。きのこのホイル焼きも追加。カミさんが大生お替り。私もお湯割りお替り。
これで締めて5千円ちょっと。
温まったところで外に出ると、雲行きが怪しい。
交通費を節約するために、新宿に向かって歩き出すと、雨が落ちてきた。
傘を差しながら南下していくと、青梅街道に並行した形で、遊歩道があったので、そこを歩いていくことにする。
途中で「島忠」を発見、ホームセンターが珍しいということで、一回り見学。
30分ちょっと歩いていると山手通り沿いの神田川に突き当たり、その川沿いにある遊歩道をまたまたひたすら歩いていく。
気がつけば、鳴子坂下の交差点に出ていて、ここからは新宿西口がすぐだ。
「うどんでも啜って一杯やろうか」という話になり、小滝橋通りの
東京麺通団に向かった。讃岐うどんブームを東京にもたらしたといわれる、ほぼセルフ方式のうどん屋だ。
ここにはてんぷらを中心とした「種」がそろっていて、これを適当にチョイスしながら、酒類もいただけるという便利なお店。
入り口で、「なににしましょう?」とうどんの注文を聞かれるが、「あとでね」と言って先に進み、「種」の並んでいるコーナーで「つまみ」を選ぶ。
茹でた鶏肉を具にした玉子焼きのような不思議なものがあったので、これを選んでみて、あとはメンチカツとおでんの大根にちくわ。
讃岐うどんには必ず一緒にあるというこのおでんは、酒の肴にちょうどいい。茹で鶏のピカタ風というかお好み風というか奇妙な食べ物もなかなか。
私はレモンサワー、カミさんは生ビール。
飲み物のお替りをするついでに、うどんも頼んでくる。メニューを見ていて、これはおもしろそうだと思ったのが
「ちーたま」。
讃岐うどんには「かまたま」という定番メニューがあって、これは釜揚げうどんの熱いところに生卵を落として、醤油をかけてワシワシと掻き回して、卵ご飯状にして食するというもの。これをなかなか食べる機会がなかったのだけれど、酒につまみならと思って頼もうと思っていたところ、ふっと目に入ったのがこれのバリエーションである「ちーたま」だった。
「かまたま」に粉チーズ、仕上げに黒胡椒という組み合わせ。いわゆる「うどんのカルボナーラ」という寸法らしい。
それと、ウィンナー天(赤いウィンナーだ)、美味しかったのでメンチカツを追加して、ビールとレモンサワーをトレイに乗せて席に戻る。
まず「ちーたま」をズルズルと。うんっ、うまっ!!!
前払いで、1回目が1300円、2回目が1600円、締めて3千円。
財布には1400円が残っていた。
さて、どうするか。
ドボンしちゃうとおもしろくないので、限りなくぴったりで終わりたい。
そこで、新宿駅の東口地下通路にある
BERGというスタンドカフェに行くことにした。
ここはこだわりの素材を出している界隈でも有名な(そして狭くていつも混んでいる)店で、ある友人からこの店のことを聞いて、世界のビールが手軽に飲めることが気に入って、たまに寄ってみることにしているのだった。
ここなら前払いだし、安心して残りギリギリまで飲めるだろうと、来てみるとやっぱり混んでいる。
カミさんはやっぱりビール、私はギネスのハーフパイント、そしてポテト&ソーセージの皿を注文すると、1200円弱。
おつりは223円。これで
ゲームオーバーかな。。。
いや、待てよ、電車賃混みだったな、帰りは
どうするんだ!
まあ、いいや。。。と酔いつぶれていった結婚記念日だった。
ちなみに、帰りはカミさんが持っていた東京メトロの土旧券を使ったから、「約束」にはぎりぎりセーフだったことを付け加えておかなければなるまい。
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- 2008/11/16(日) 17:24:23|
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